NPO法人の解散

解散原因

  1. 社員総会の決議
  2. 定款で定めた解散事由の発声
  3. 目的とする特定非営利活動に係る事業の成功の不能
  4. 社員の欠亡
  5. 合併
  6. 破産手続開始の決定
  7. 特定非営利活動促進法第43条の規定による設立の認証の取消し

手続きの流れ

最もよくあるケースが「社員総会の決議」による方法なので、ここでは「社員総会の決議」による解散を例に説明します。

  1. 社員総会で解散の決議をする。同じ総会で清算人を選任する。残余財産の帰属先を決定する。
  2. 法務局へ解散と清算人の選任の登記をする。
  3. 登記完了後、所轄官庁に解散届出書を提出する。(所轄官庁により様式が決まっていることが多い)
  4. 官報に解散公告を掲載する。最低2ヶ月の公告期間を設ける。申し込んですぐに官報に掲載するわけではないので、解散決定後、速やかに申し込む。
  5. 公告期間経過後、法務局に清算結了の登記申請を行う。
  6. 清算結了の登記完了後、所轄官庁に清算結了届出書を提出する。

公告期間を2ヶ月以上設けないといけないので、解散の決定から、清算結了の届出を所轄官庁に提出するまで3〜4ヶ月ほどかかる。

理事の任期更新を懈怠しているケース

よくあるケースが、NPOを設立したものの何らの活動もできず、役員の任期の更新もできていないようなケースだ。

所轄官庁にまず解散する旨を相談しよう。出せていない事業報告などを提出するよう求められるケースもあれば、仮理事を選任し、手続きを進めるケースもある。NPOとして解散を決定したなら、過去の出せていない事業報告については不問となるケースもある。このあたりは所轄官庁によって取り扱いが異なる。

法務局への解散登記の申請においても、理事の任期を更新できていない場合、総会議事録において通常とは違った記載を求められる。いわゆる「急迫の事情」があるときの記載だ。当該NPOを所轄している官庁と先に相談をし、解散までの手続きの見通しが立てられれば、法務局はその方針を尊重してくれるだろう。

解散公告

官報への解散公告は行数にもよるが4〜5万円ほどかかる。官報に解散公告の見本も掲載されているし、希望すれば担当者も文案をチェック(校正)してくれる。申込後、掲載まで3週間ほどかかる。掲載を確認してから公告掲載費用を請求される。

コストもかかるので、官報への掲載を省略したいという向きもあるようだが、誰でも簡単に掲載の有無を確認できるものなので、ズボラなことをせず、ちゃんとした方がいい。

残余財産の処分

残余財産は残った理事や社員が受け取ることはできません。

他のNPOや公益社団/財団法人、国又は地方自治体、学校法人、社会福祉法人、更生保護法人のうちから選定することになります。

専門家に依頼した場合のコスト

行政書士や司法書士に依頼した場合、数十万円程度はかかるだろう。

放ったらかしにしていると、所轄官庁や再々手続きをするように求める通知が来たり、裁判所から手続き懈怠の過料の通知が来たりする。コスト的にももったいないのは確かだが、なにより精神衛生上、非常に焦る。なんとかしなくてはと思う反面、なにをどうしたらよいのかわからず、動けなくなっていることも多い。自分でもできることだが、費用をかけても専門家に依頼し、嫌なプレッシャーから開放されるのが、楽なのではないだろうか。