https://app.e-oss.myna.go.jp/Application/ecOssTop
行政がマイナポータルのサービスの一環として提供しているサービスです。
これとは別に、法務省の「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと・供託ねっと)」というものもあります。
https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/index.html
この記事では「法人設立ワンストップサービス」についてのものです。似ているので混同されないようにしてください。
法人設立ワンストップサービスの特徴は以下のようになります。
メリット
- オンラインで必要書類を作成できる。
- オンライン上で申請できる(役所まで書類を提出しに行かなくていい)。
- 複数の役所への申請もまとめてできる。
- 株式会社の場合、公証人の定款認証と法務局への登記申請をまとめて手続きできる。
- 申請状況の確認もできる。
- このサービスを利用できるかどうか「かんたん問診」を受けられる。
デメリット
- 前提として以下のことが求められる。
- マイナンバーカードを持っていること
- 電子署名する環境があること(パソコン、インターネット、ICカードリードライタ)
- 電子定款ができていること
- 税務署への届出内容について理解が必要
- 個人事業からの法人成りの場合には使えない。新規設立であること。
マイナンバーカードについては、下記リンク先を参照
マイナンバーカード ガイド | ぴったりサービス (myna.go.jp)
「かんたん問診」で確認されること
「かんたん問診」では以下のことを確認されます。
法人の電子証明書
法人の電子証明書を同時に申請するかどうか。
設立後、下記の変更が生じた場合、電子証明書が失効してしまうので、すぐに必要な場合以外は「いいえ」(不要)でいいでしょう。
商号、本店所在地、代表者や代表者の氏名、代表者の資格
定款の作成
定款は作成できているかの確認。定款を先に作成しておかないと手続きが進められません。
株式会社か、持分会社か
設立する方を選ぶ。
・持分会社とは、合同会社、合資会社、合名会社のこと。
・株式会社は定款に公証人の認証を受けなければいけませんが、合同会社等の持分会社なら不要です。
青色申告の承認
青色申告の承認を受けるか
特殊な事情がなければ、青色申告にしておいた方がいいでしょう。「はい」
棚卸資産の評価
棚卸資産の評価方法を選択します。事業で取り扱う商品によります。法定の評価方法は、最終仕入れ原価法による原価法です。最終仕入れ原価法による原価法は、計算が楽な点がメリットです。何も届出しなければ最終仕入れ原価法による原価法になります。事業年度開始年度の確定申告書提出期限までに提出すればいいので、今は出さずにあとで税理士さんと相談すればいいでしょう。「わからない」を選択しましょう。
棚卸資産
減価償却資産の評価方法
減価償却資産の評価方法を選択します。これも確定申告期限までに出せばいいので、出さずにおいておきましょう。「わからない」を選択しましょう。
有価証券1単位あたりの評価方法
有価証券1単位あたりの評価方法を選択します。これも確定申告期限までに出せばいいので、出さずにおいておきましょう。「わからない」を選択しましょう。
申告期限の延長
法人税の申告期限の延長するかどうか。申告期限の延長をしても、納付期限が延長されるわけではないので、あまり延長する意味はありません。念のため延長しておくくらいのものです。しなくても構いませんが、希望する場合は延長しましょう。
届出は事業年度の終了までに出せばいいので、すぐに出さなくても問題ありません。
法人住民税の申告期限の延長
給与支払い人数が10人未満の場合、源泉所得税の納付を半年に一度とする特例を受けることができます。この特例を受けるかどうか?ですが、受けておきましょう。
消費税について
資本金が1千万円未満の場合、消費税が免除されます。しかし、特別な事情で、初年度から消費税の課税事業者になった方がいいようなケースがあります。適格請求書を発行したい場合、輸出業者で消費税の還付を受けたい場合、初年度から多額の設備投資がある場合が考えられます。
初年度から消費税の課税事業者になりたい場合は、届出を出しておきます。
事業年度終了までに提出します。
資本金が1千万円以上の場合は、消費税の課税事業者になります。消費税の計算を簡易課税で済ますことができます。
消費税の課税期間の特例を選択して、毎月や3ヶ月に1度にすることができます。
消費税の申告期限の延長について。法人税の申告期限の延長の特例を受けている場合は、出しておいきましょう。
e-Taxの利用
e-Taxの利用者識別番号と暗証番号を持っているかどうか。なければ、なしで構いません。
役員の「事前確定届出給与」の届出を提出するかどうか。決められるようであれば出しておきましょう。
適格請求書発行事業者
適格請求書発行事業者になるかどうか?小売店で顧客が一般消費者などであれば的確請求書を機にする必要はないですが、取引先が適格請求書を求めるような場合は、発行事業者になることになります。
本店・営業所の所在地について
・法人設立の所在地が東京都23区内かどうか
・事業所の所在地が一定の都市かどうかの確認です。該当する答えを回答しましょう。
健康保険、厚生年金、労働保険、雇用保険について
健康保険・厚生年金に新規加入するかどうかです。
法人成りの場合、健康保険・厚生年金保険の適用事業所の名称・所在地変更届を提出します。新規適用ではないので注意しましょう。
労働保険に加入するかどうか。従業員が1名でもいれば加入します。いなければすぐに加入する必要はありません。
労働保険についても健康保険・厚生年金と同様に、法人成りの場合は、労働保険名称・所在地変更届を提出します。新規適用ではありません。
雇用保険に加入するかどうか。従業員が1名でもいれば加入します。
雇用保険についても前2つと同様に、法人成りの場合は、事業主・事業所の各種変更届を提出します。新規適用ではありません。
設立のオンライン申請
法人成りの場合でも、設立の登記申請をオンラインで行うことはできます。
法務省:一人会社の設立登記申請は完全オンライン申請がおすすめです! (moj.go.jp)
事前準備
・会社設立に必要なことが決まっている。定款の作成ができている。
・個人の印鑑証明書がある。
・資本金が準備できている(銀行口座に入金/振込できている。)
・登録免許税の支払準備ができている。電子納付(オンラインでの支払い)ができていること。各金融機関でオンライン利用を済ませておく必要があります。
・会社の実印がある(なくても設立は可能ですが、作っておくことをお勧めします)。
・電子証明書で電子署名する環境が整っている。
マイナンバーカード、パソコン、スキャナー、ICカードリーダー
申請する手続きを選択する
「設立登記の申請」は複数種類ある
法人設立ワンストップサービスには、「設立登記の申請」は、定款認証同時申請用と、定款認証同時申請以外用のほかに、商業電子証明書の発行同時申請用が別にありますので、注意しましょう。
(1) 設立登記の申請 定款認証同時申請用
(2) 設立登記の申請 定款認証同時申請以外、持分会社用
持分会社は、合同会社、合資会社、合名会社のこと
(3) 設立登記の申請 商業登記電子証明書の発行同時申請用
(4) 設立登記の申請 定款認証と商業登記電子証明書の発行同時申請用
一見、定款認証と同時にするのがいいようにも思いますが、設立申請したその日に定款の認証がされないと、設立申請が却下されてしまいます。
公証人とのやりとりを事前に進める必要がある点は同時申請でもそれ以外でも同じなので、そこまで急いでいないのであれば、余裕を持って進められる別申請でいいと思います。
同時申請のメリットに24時間以内の登記手続き完了があります。全ての添付書類を電子ファイルで作成して提出し、登録免許税も電子納付し、役員が5名以内で、補正がないことが条件に挙げられています。
24時間以内の処理は魅力的ではありますが、はじめてされる方にとっては、なかなかハードルが高いと思います。
選択必須のものがある
次の4つの手続きは必須となっています。
A.税務署への(1)法人設立届出と(2)給与支払事務所等の開設等届出
B. 都道府県への(3)法人設立・設置届
C.市町村への(4)法人設立・設置届
青色申告の承認申請と、申告期限の延長申請は、出しておいた方がいいでしょう。
青色申告の承認申請は設立日以降3ヶ月以内か、事業年度の終了日の早い方の日までに出すこととなっています。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_14.htm
申告期限の延長は、当該事業年度終了の日までに出すこととなっています。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_12.htm
申請人本人がされる場合、なるべく最低限の手続きのものだけに数を抑えて、進めるのがよいのではないでしょうか。